幹部職 の停滞(ポスト不足)を解決し、次世代にチャンスを与える方法

2021.04.15
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中小企業では、事業部長・部長など、各部署を率いる「 幹部職 」の顔ぶれが長年同じということが珍しくありません。

この幹部職と下の世代には実力、経験ともに開きがあり、しかも幹部が皆まだまだ元気だとすると、この先5年経っても10年経っても同じ幹部が同じポジションにいる可能性が高いです。

その時、下の中堅層や若手社員は自分の将来をどのように見るでしょうか?

今週のブログは、幹部のメンバーが長年固定化して新陳代謝がない企業が、中堅社員や若手にいかにしてチャンスを与えるかというテーマです。

 

幹部職 の停滞(ポスト不足)問題

 
成長期の企業は組織がどんどん拡大し、部署の数が増え、支店が増え、新たなポストが生まれてきます。

ところが成長が踊り場に入ると、新しいポストが生まれないため、次の世代を出世させていく道が断たれてしまいます。

そして経営幹部も固定化が始まります。

メンバーが固定化すると、新しいチャレンジに臆病になったり、経営スピードが落ちたり、若手の台頭を抑えつけたり、様々な弊害が生じる恐れがあります。

ポストが限られると、中堅社員や若手の昇進昇格の可能性も抑制されてしまいます。

 

幹部職 の停滞問題:大手企業の対応方法

 
かつて大企業はこのようにして、問題を乗り切ってきました。
 

  • 関連子会社や孫会社を設立してそこに出向させる(=新たなポストの創出)
  • 取引先に出向させる(外部の企業に頼る)
  • 部下のいない部長(担当部長)などを設置(=新たなポストの創出)
  • 役職定年(役職者の肥大化を抑制)
  • 早期退職制度などを活用したリストラ

 
論功行賞的に必要以上の人数の取締役を設置している企業も少なくありません。

これらのやり方は、終身雇用を維持しつつ、次の世代にも昇進昇格のチャンスを与え、人件費の膨張を一定程度抑えるという意味では何とか機能しました。

しかしその代償として、
 

  • 組織の肥大化・硬直化
  • 意思決定スピードの遅さ
  • 責任の曖昧さ
  • 働かないおじさんの増加
  • 社内の雰囲気の悪化
  • 採用抑制による社内年齢構成のアンバランス

 
これらの弊害をもたらしました。

もしあなたの会社が今、幹部の固定化・ポスト不足問題に直面しているとしたら、上記のようなやり方を真似してはいけません。

 

中小企業が幹部職のポスト不足に対処するときの注意点

 
今いる人材を処遇するためだけにポストを新たに設置したり、会社を設立したりするのは後々問題になるので控えましょう。

「組織は戦略に従う」とあるように、組織は事業戦略ありきで設計してください。

仮に現在の事業部長や部長で、その任務に応えきれていない人がいるとしたら、段階的に次の世代にバトンタッチしていく必要があります。

しかしここで少し問題があります。

急に役職から外したり、その説明が曖昧だと、新体制に協力してくれず抵抗勢力になる恐れもあるので、要注意。

少なくともこれまで幹部として支えてくれたことへの感謝は必要です。
 

ポスト不足を解消する「バトンタッチ」をスムーズに進めていく方法

 
幹部が固定化するとそのポジションが空かない。

するとその下のポジションも空かない。

この連鎖により、若手や中堅社員に「自分は将来も昇進できず、ずっと同じ仕事をしているのではないか?」という不安を呼び起こします。

そしてその不安が転職理由の1つになることもあります。

バトンタッチをスムーズに進めるにはどうすればいいか、その具体的な方法をみていきましょう。

 

専門職コースの設置

 
多くの会社の人事制度で用いられている方法です。

係長→課長→次長→部長→役員とポジションを上げていくことが報酬の上がる唯一のルートだとすると、ポストに限りがあるためすぐ限界がきてしまいます。

そこで人事制度上「専門職コース」を設置します。

「専門職コース」は組織を統括する役割は持たせず、得意な専門分野の仕事に特化して成果を上げていくコースです。

専門分野の能力を高め、それに応じた成果をあげる毎に昇格昇給していくことができます。後輩指導という役割もあります。

幹部社員が専門職コースに移行することで、従前のポジションが空き、そこに次の世代を登用できるというメリットもあります。

 

降格ルールの組み込み

 
幹部クラスの人材の中で任務に応えきれない人が出てきた場合、その人に降格してもらい、次の世代を幹部に引き上げる新陳代謝も時には必要です。

ただし、やり方には一定のルールがあった方が望ましいです。

多くの会社では昇格のルールがあっても降格にはルールがないので、本人の納得感を得られる仕組みが必要です。

 

IT企業A社の場合:

 
業績評価(ABCDEの5段階評価)で2年連続DまたはEをとった幹部社員(役員と部長級)は降格するというルールを定め、ルール通り降格させている。

ただし降格した人も頑張ればまた幹部職に復活が可能。

 

中堅サービス業B社の場合:

 
一定の役職以上の幹部は「必ず業績を対前年比15%以上伸ばす」という必達ルールを定め、それを達成できない人は必ず交代させている。

非常に厳しいルールだが、必ずその通り実行しているので、幹部は常に高い緊張感と貪欲な事業拡大欲を維持している。

上のポジションが空く可能性が常にあるので、予備軍たちも積極的にそこを狙って頑張っている。

 

星野リゾートさんの場合:

星野リゾートさんでは降格を明るくとらえる組織づくりを推進している。

「降格・昇格」という言葉を「充電・発散」と呼び、役職に関係なく必ず「さん付け」で呼び合う。

同社の星野代表は「小さな会社ほど昇降格を活発にすべき」と述べている。

 

サイバーエージェントさんの場合:

 
2008年~2018年までの間、「CA8(シーエーエイト)」という人事制度を掲げ、取締役8人のうち2年に1度、必ず2名を入れ替えるルールを運用していた。

取締役を硬直化させず、若手にチャンスを与えるのが目的。

 

ベテランの引退または部署異動

 
幹部職の年齢が高い場合には、次を見据えてバトンタッチを計画的に行っていく必要があります。

 

製造業C社の場合:

 
主要幹部が高齢化しつつあったため、後進にバトンタッチする目標年限を定め、後任育成などの準備を進めていった。

いきなりバトンタッチが難しい部署もあったので、部長職を譲った上で、元の部長が部付部長という形で新部長を一定期間サポートした。

部付部長に対しても相応の処遇を行い、協力的にバトンタッチを進めてもらった。

 

人材サービスD社の場合:

 
営業部長(55歳)のやり方が徐々に時代に合わなくなっていた。

加えて営業部は中堅、若手に優秀な人材も多かったため、部長、副部長に次の世代を登用したい事情もあった。

そこで社長は営業部長を説得し、カスタマーサポート部の部長として横異動させた。

営業部長はあまり乗り気ではなかったものの、過去の功績を称えた上で、「まだエネルギーもあるので歴史の浅いカスタマーサポート部を育てて欲しい」という社長のお願いを受け入れた。

続いて幹部社員が外に転身する道についても説明します。

 

独立支援

 
小売業などに多く見られる制度です。

サラリーマン店長が自分の店を譲り受け、フランチャイジーとして自らオーナー兼店長になる制度などがあります。

営業担当者を独立させ、会社とは業務委託の関係で同じ仕事を継続するやり方もあります。

最近ではタニタさんが、専門職の社員の一部を正社員から業務委託社員に切り替えたことが話題になりました。

総合職として幹部になることを目指さず、専門スキルを磨き独立個人事業主でやっていきたい人は今後増えていくでしょう。

 

転職支援

 
クビにして転職させるということではありません。

事業環境の変化や組織の変化により、幹部社員の仕事のやり方や強みが、会社が求めるものに合わなくなることも起こります。

新しいやり方に適応するのも1つの道ですが、無理に今の会社に固執せず自分の強みを生かせる別の環境を探した方が、本人にとってもハッピーな場合があります。

その場合には、本人がいい転身ができるよう、会社として可能なサポート(例えば転職活動がしやすい活動時間の確保、有休の活用、人材仲介会社の紹介など)を行います。

 
今の時代は、同じ会社で同じスキルで一生貢献し続けることはほぼ不可能です。

この問題には誰もが直面するので、会社として支援する意義があります。

 

まとめ 

 
会社にポストがなく昇格できず滞留すると、組織の停滞につながります。

会社規模が拡大している段階では問題は生じませんが、成熟と共に幹部職の停滞(ポスト不足)がやってきます。

その時に中堅や若手世代が閉塞感を感じることなく、昇進昇格を目指していけるチャンスをぜひ用意してあげましょう。

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

中小ベンチャー企業が「人と組織の力を最大化して持続的に発展」できるよう、人材育成・組織開発のコンサルティング、トレーニング、人材育成プログラムなどを提供しています。

筆者プロフィール詳細