人間関係が悪い職場 の根本的な原因とは?|揉め事が起きる職場に共通する4つの問題

2024.06.07

 
人間関係が悪い職場 には共通することがあります。
 

どの職場でも人間関係にはある程度の軋轢が避けられませんが、頻繁に揉め事が生じたり、激しく対立したり、まるで子供の喧嘩のようにぶつかり合うケースがあります。

組織としてはこうなる前に手を打たなければなりません。
 

今週のブログでは、揉め事が多発する職場に共通する問題は”マネジメント不全”である、ということについてお伝えします。

 

揉め事が生じる職場に共通する問題

 
職場内で揉め事が生じた場合、それがAさんとBさんの間であれば、両者個人間の問題として対応して解決するのが一般的です。

しかし、揉め事が多い職場ではこれだけでは終わらないこともあります。

例えばBさんはCさんと協力関係にあってDさんとEさんのペアと揉めていて、さらにEさんはFさんと対立している・・・。

このように1つの職場の中で複雑な状態が生じていたりします。
 

人間関係が悪い職場

 
これほど複雑ではないにしても、AさんとBさん間の揉め事が1度きりで終わらず、繰り返し何度も起きて周囲に迷惑をかけるようなケースもあります。
 

これらの問題の本質は、実は揉めている個人ではなく、マネジメントにあります。 

マネジメントがきちんと機能していないから問題が起きるのです。
 

例えば、ボス猿が睨みをきかせている猿の組織は統制がとれていますが、ボス猿がいなくなると組織が混乱し、様々な諍いが生じます。

ボス猿のマネジメントが機能しなくなったがゆえに、現場が混乱し、秩序がなくなり、皆が好き勝手に行動している状態です。
 

会社組織も基本的には同じ構造です。

誰もが意図的に揉め事を起こしたい訳ではありませんが、マネジメント不全が組織に揉め事を引き起こす状況を作り出しています。

 

「マネジメントが機能していない」とは?4つの観点からチェック 

 

マネジメントが機能していないとき、その原因は以下4つの主要な観点から説明できます。
 

①      組織の目的、目標が定まっていない

②      組織のトップに明確な意志・メッセージ・指示がない

③      責任、役割が曖昧

④      規範、ルール、仕組みがない

 
それぞれ説明します。

 

① 組織の目的、目標が定まっていない

 
組織がどこに向かっているのか、何をしようとしているのかが曖昧な状態です。

例えば高校のサッカー部メンバーの中に、全国大会を目指す意欲がある人もいれば、楽しくスポーツできればいい(勝負にはあまりこだわらない)人もいたとします。

その時、練習メニューはどのように組み立てればいいでしょうか?

恐らく組み立てることができないはずです。
 

サッカー部自体が何を目指すか? 短期・中期・長期の目標は何か? 

それが定まらない限り、部員同士の意見がまとまらず、練習も中途半端になり、チームワークの悪い組織になってしまうでしょう。
 

会社組織も同様であり、チームメンバーで共に目指すゴールを共有し合わない限り、皆のベクトルがばらばらになり、混乱、衝突が生じます。

 

② 組織のトップに明確な意志・メッセージ・指示がない

 
猿山のボス猿のように、会社組織においても組織のトップの影響力はとても大きいものです。
 

仮に①で述べた組織の目標が明確であったとしても、日々の仕事においては様々な問題が生じ、それに対して都度判断を下していく必要があります。

その際、トップの考え方やメッセージが明確であれば、現場は混乱なく進んでいきます。
 

しかし、トップが判断せず曖昧なままにしたり、指示に一貫性がないと、現場はどちらに向かって動けばいいか分からなくなり、メンバーは混乱し、衝突が増えます。
 

加えて、組織のトップにはある程度、権威や恐さも必要です。

部下に遠慮して厳しいことを言わずにいると、部下たちは自分勝手に動きはじめ、組織として統一感が失われます。
 

トップがある程度睨みをきかせ、

「トップの考えから大きく外れることは許されない」

「指示には従わなければならない」

と思わせることも必要です。

 

③ 責任、役割が曖昧

 

組織で仕事をする以上、メンバー1人1人の役割は何か?特定の業務における責任者は誰か?

これらを明確にする必要があります。

先ほどのサッカー部に例えると、フォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダー、ゴールキーパーという役割分担があり、各々やるべき事が明確です。

もしこの役割分担がない状態で試合に臨んだら、皆がてんでばらばらな動きをして全く統率のとれないチームになってしまいます。
 

また、責任者も明確です。

監督が全ての総責任者であり、生徒の中でチーム全体を率いるのがキャプテンです。

その他、各ポジション全体を統率する責任者、用具管理、練習試合の手配、怪我をしたメンバーのケア、それぞれを担当する責任者がいます。

部員全体に役割がふられ、さまざまな仕事における責任者がいて、チームという組織が成り立っています。
 

組織活動において役割と責任を明確にすることは基本のキですが、会社組織では意外と責任と役割が曖昧なことがあります。
 

〇〇会議の主催責任者は誰ですか?

顧客満足度向上の責任者は誰ですか?

新たに導入されたシステムを社員が使えるように、伝達・教育する責任者は誰ですか?

営業部の中で商品パンフレットを改訂する担当、責任者は誰ですか?

 

あなたの周りでも、野球でいうポテンヒット(選手と選手の間にボールが落ちてヒットになること)のように、担当者がはっきりしていない業務がありませんか?

担当しているメンバーはいるものの、責任者の顔がはっきりしない業務がありませんか?
 

このように曖昧領域が多いと、気の利く人がポテンヒットを拾ってくれますが、次第に

「なんで私ばっかり・・・」

という気持ちになります。やがて助けてくれない人が敵に見えてきます。
 

責任者不在状態のまま複数メンバーで仕事を進めていると、メンバー間でお見合い状態が続き、チーム内に微妙な空気が流れだします。
 

・・・・・・・・・・・・

 
このように、責任と役割が曖昧な組織は、メンバーに混乱や疑心暗鬼を生み出し、人間関係が悪化していきます。

 


ただし会社組織特有の難しさも理解しておかなければなりません。

サッカー部の役割分担は年間を通じてほとんど変わることはないでしょう。

ところが企業活動は刻々と変化し、やるべき業務もそれに応じて変化していきます。そのため担当者が誰もいない状態や、責任者を決めずに何となく走っている状態が起きやすい背景があります。

従って、あらゆる業務において担当と責任者が明確である必要はありませんが、少なくとも定常的な業務における担当分けと責任者は明確にし、間に落ちるものについては、協力的で前向きな組織風土により補っていくのが現実解です。

 

 規範、ルール、仕組みがない

 
組織には、一定のルールが必要です。
 

社会には法や規範があります。

例えば、映画は静かに見ましょう。体の不自由な人がいたら助けましょう。といった、人々の間で共有している規範があります。
 

家庭でもちょっとしたルールがあるのではないでしょうか?

朝はお互いに挨拶をする、布団は自分で畳む、ゴミ出しはお父さんがする、お風呂掃除は●●の手順でやる、などなど。
 

会社にも勿論ルールがあります。

出勤時間、昼休みの時間、休日などが定められています。

上司への業務報告にもルールがあるでしょう。

業務手順においては、例えば品質チェックのプロセスには明確なルールがあるでしょう。
 

同様に組織活動においても本来ルールが必要ですが、明示されていることは稀です。
皆が心に留めておくべき大事なルールですが、伝えられていません。
 

それは、以下のようなルールです。
 

職場の同僚は互いに協力者であり、同僚に対して仕事で必要な範囲を超えた批判や誹謗中傷は行ってはならない

個人的な好き嫌いを露骨に出すのはご法度

そりが合わない人であっても、それなりに上手く対処していくのが仕事

職場の同僚同士、相手の理解につとめ、相手を尊重しなければならない

 

このような内容は実は就業規則の一部に書かれている会社もありますが、組織のトップがメンバーに明確に伝えられているかというとそうではありません。

組織を率いる人は、上記のようなルールをきちんと言葉にして(しかも何度も)伝え、それが守られない人に対しては、厳しい指導を行なわなければなりません。

問題行動をとる人をとがめることなく放置すると、それは組織のトップが暗に認めていることになってしまうからです。
 

マネジメントを機能させるためには、正しくない行動を厳しく指摘し、強い姿勢で臨む必要があります。

 

まとめ

 
孫子の有名な言葉にこのようなものがあります。

一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五に曰く法なり

 
孫氏は兵法を説いた人なので、強い国や強い軍隊の要件としてこの5つをあげています。
 

「道」は組織の理念や向かうべきところを意味します。

「将」はトップの資質です。

「法」はルール、規範、仕組みです。

(ちなみに「天」は“天の時”なので時期やタイミング、「地」は“地の利”なので戦う環境やエリアを意味しています。)
 

先ほどのマネジメントが機能していない4つの観点とも対応しています。
 

① 組織の目的、目標が定まっていない : が不明確

② 組織のトップに明確な意志・メッセージ・指示がない : が弱い

③ 責任、役割が曖昧 : が曖昧

④ 規範、ルール、仕組みがない : が曖昧

 

「道」、「将」、「法」は古来から今にいたるまで、組織運営に不可欠なものであります。

組織に揉め事が生じたり和が乱れるのは、マネジメントが機能していないことが根本原因です。
 

個人的な問題と捉えて一時的に解決したとしても、根本原因を解決しない限り、また別の人同士がトラブルを起こすでしょう。

悪化した関係性を改善するために親睦会やイベント、チームビルディング活動などを行なったとしても、それは一時的な対処療法にしかなりません。
 

「乱れた組織の本質的な原因はマネジメントにある」と捉えて解決に乗り出す必要があります。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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