部下が思うような結果を出せないとき、そこにはさまざまな要因があります。
上司としては、部下に結果を出してもらいたいので、具体的な対策を教えたり、仕事に向き合うマインドを指導したり、色々と手を尽くします。
それでもなかなか結果がついてこないことがあります。
その原因は、上司が全く気に留めていなかった意外なところ、非常にベーシックなところにあるかもしれません。
今週のブログでは、どんな職種においても求められる基礎スキルでありながら、実はきちんと教わる機会がないまま身についておらず、それが結果として仕事の足を引っ張っているケースについてお伝えします。
いわば、上司が気づかない「ベーシックスキルの盲点」とも言えます。
あなたの部下の指導において該当することがないか、ぜひ点検してみてください。
成果が出ない原因は足元にある

仕事で常に成果を出す人は、日々地道な努力を積み重ねています。
特別な才能やひらめき、華麗なるアクションによって成果を上げるというよりも、
日々の仕事を着実にこなし、コミュニケーションをしっかりとり、信頼を獲得し、知識を蓄積し、わからないことを学ぶ。
そうしたことの継続によって成果を出しています。
一方、結果が出ない人にありがちなのは、”目立たないけど大切な基礎スキル”に弱点があり、基本的な「仕事の習慣」が作れていないことです。
建物に例えると、床下の基礎の部分がぐらついている状態です。
部屋をリフォームし、素敵な家具を置き、増築したとしても、土台が不安定なままでは本当に住みやすい家にならないのと同じです。
しかも、このような基礎力がぐらついているのは若手社員に限りません。
中堅社員、ベテラン社員にも、基礎が疎かになっているために結果が出ない人がいます。
むしろ年次が上がるほど誰も注意してくれなくなり、若手社員ほど修正する機会もないため、いっそう問題の根が深いとも言えます。
(例)結果の出ない営業担当者の指導

営業部になかなか結果の出ない部下、Aさんがいるとします。
上司であるあなたは、商談の進め方、提案資料の作り方、顧客社内の意思決定者と会う方法など、営業活動において大事なステップ、手法について指導します。
Aさんも指導を素直に聞いて、ある程度準備をちゃんとやって商談に臨むようになりました。
ところが、それでも結果がついてきません。
さて、あなたは次に何をしますか?
このような時は一度、「基本的なことができているか」に立ち返ってみるのがおすすめです。
スポーツ選手もスランプに陥ると、基礎的な反復運動やストレッチに戻る傾向がありますよね。
うまくいかない時は、さらに難しいことをやるのではなく、基礎に立ち返って当たり前のことができているかを確認する方が効果的です。
部下がある程度の年次だったり、中堅/ベテラン社員の場合、その上司は「このくらいはできて当たり前」 「自分が教えるほどのことではない」と線を引いてしまうことがあります。
しかし、そうなると仕事の基礎に関する指導が誰からもなされないまま、悪い仕事の習慣が温存されます。
基礎の弱さが成果が出ない原因になっているならば、上司は初歩的な業務指導であっても踏み込んでいく必要があります。
意外とできていない、5つのスキル

当たり前にできていそうで、意外とできていない人が多いスキルの代表格はこちらです。
タスク管理
メール・チャット対応
資料管理・資料のネーミング
データ入力・管理
依頼・確認・フォロー
それぞれ簡単に説明していきます。
タスク管理

タスク管理とは、自分の担当業務の進捗を把握し、もれなく進めるための活動です。
あなたの部下は適切なタスク管理表を備えているでしょうか?
タスク管理表は特に難しいものである必要はありません。
良いタスク管理表のポイントは次のようなことができているかです。
自分が担当する仕事を「緊急」「短期」「中長期」に分類できている
「緊急」=最優先で対応するもの
「短期」=今日中ではないものの数日内~1週間内に完了すべき業務
「中長期」=中期時間軸、長期時間軸で着実に進めていく業務
各業務に完了期限が記載されている
現時点でやらなければならないタスクが、管理表を見れば一目で分かるようになっている
タスク管理表を毎日確認し、業務に抜け漏れがないかを把握する時間をとっている
新たに加わった業務をタスク管理表に必ず追加し、終わった業務は完了したことがわかるようになっている
上述の内容はタスク管理における「キホンのキ」ですが、しっかりできている人は意外と多くないかもしれません。
特に忘れられやすいのが、新たに加わった仕事をタスク管理表に必ず書き入れるというステップです。
メールで依頼のあったタスクは確実に入力しているのに、チャットで来た依頼はタスク一覧表に追加しないなど、依頼が来た経路によってタスク管理の方法が変わってしまうケースがあります。
つまり、「タスク管理の型」がまだできあがっていないのです。
タスク管理ができていない人は、やるべき業務が漏れたり、期限に遅れたりします。
それが続けば顧客や社内から信頼も得づらくなり、仕事の結果が出ない原因の一つになります。
タスク漏れのある部下に対しては、タスク管理表とその管理表の使い方を現物確認して、上記の観点から1つ1つ指導をしましょう。
「そんなことまで指導するの?」 と思うかもしれませんが、タスク管理表は毎日の仕事の土台です。成果の出ない部下にはそこまで踏み込んで指導してあげましょう。
メール・チャット対応

メールを送っても、待てど暮らせど返信が来ない人がいます。
その理由は色々ありますが、単純に返信を忘れてしまっていたり、そもそもメールを受信したことに気づいていなかったりするケースもあります。
メールの大原則は、受信から1営業日以内に返答するのが暗黙のルールです。
すぐに回答できない内容であっても放置せず、まずは受信したことや対応予定を返すなど、相手を待たせないことが重要です。
メール・チャットの対応について、以下のことができているでしょうか。
受信トレイに貯めこみ過ぎず、早めに対応すべきメールがどれかがすぐにわかる。メールやチャットで対応を急ぐものとそうでないものが一目で分かる。
対応完了したメールは破棄するか所定の場所に保存している。保存場所にはルールがある。
メールの振り分けなどの設定を細かくやり過ぎたり、新着メールが色々な場所に点在していたり、結果として見落としやすいような状態になっていない
自分が読む必要のないCCメールを受け取りすぎないよう、不要なものは発信者に伝えて宛先から外してもらっている
必要以上にチャットのグループに入らず、情報が分散しすぎないようになっている
これらができていないと、新着メールを見逃したり、急ぎ対応のメール返信が遅れたり、必要ないメールやチャットの確認作業に無駄な時間を費やすこととなります。
小さなことのように見えますが、メールの対応の悪さは顧客からの信頼を失う要因にもなり、成果にも影響します。
メールやチャット対応に難ありの部下に対しては、画面を見せてもらい、開封順、削除ルール、フォルダ移動ルール、フラグのつけ方などのマイルールを教えてもらってください。
マイルールにおかしいところがあれば、指導してあげましょう。
資料管理・資料のネーミング

業務効率が悪い人によく見られるのは、資料管理の方法が体系化されておらず、頻繁に資料探しに時間を費やしていることです。
管理フォルダの名称がわかりにくいと、どこに何が入っているか分からず、毎回検索して探すことになります。
新たな資料を作成した際にはファイル自体に名前をつけますが、そのネーミングも毎回思いつきで決めていると、後から資料を探すのが難しくなり、時間を余計に使います。
紙の資料が中心だった時代は、必要書類をドッチファイルに入れて整理し、ファイルの背表紙に誰もが分かる名前をつけ、さらにファイル内の資料にも分かりやすい見出しをつけて管理していました。
資料は他人と共有することを前提としていたため、特にネーミングは「分かりやすさ」と「探しやすさ」を重視していました。
ところがデジタルが主流の現在では、資料の量は膨大。
それにもかかわらず、「書類整理デー」みたいなイベントもないため、紙の書類のように定期的に整理したり処分したりする機会はむしろ少なくなっています。
資料の整理状況は、その人の頭の中が整理されているか否かを表しています。
適切に管理している人は、必要な情報をすぐに取り出し、効率的に仕事を進められます。
一方、資料を探すことに毎回時間を使っている人は、本来やるべき仕事に使える時間が削られてしまいます。そんな人はなかなか成果につながりません。
世の上司達の中で、部下にフォルダの保管方法やファイルのネーミングまで指導する人は少ないかもしれません。
しかし、これが仕事の成果に直結する以上、上司は目をつぶってはいられません。
実際のところ、仕事の質の高い会社では、ファイルの名称のつけ方や、共有フォルダの名称、保管方法まで、しっかりルールに則って運営されています。
データ入力・管理

PCスキルの基礎がないが故に、非効率でミスを生み出す仕事のやり方をしているケースがあります。
その代表例として「エクセルで同じデータを何箇所にも入力する」を取り上げます。
例えば、売上データを管理する資料を作成する場合、支店名、営業担当者名、売上高、商品名、商品コード、販売個数、購入顧客名称、所在地、顧客担当者名、などをまとめると思います。
こういった作業では、基本的には「1枚のシートに必要データを全て書き入れ、変更があった際はそのシートだけを修正する」が原則です。
同じデータ(例えば売上高)を、複数のシートの色々な箇所に書くのはご法度です。
もし、支店別売上分析の資料を作るときに、別のシート上で、改めて支店名を書き入れているとしたら、それはNGです。
上位顧客ランキングの別シートで、改めて顧客名称を記入していたら、それもNGです。
分析用の資料(ex.支店別月次売上推移、売上の商品別内訳推移、上位顧客10社ランキングなど)を作りたいときは、大元の1枚のシートのデータと連動させて、自動計算で作成するのが王道です。
1つのエクセルファイルの中で同じ顧客名称をあちこちで記入していると、1文字修正したい時に他の場所でも修正が必要となります。
同じ数字データを複数箇所に直接記入すると、1箇所だけ数字を間違えて入力しがちです。
また、同じ支店名でも「東京支店」と「東京 支店」のようにスペースの有無だけで、エクセル上では別のデータとして扱われることがあります。
これでは自動集計等の作業で正しいデータがとれなくなります。
こうした考え方は、システムやデータ管理、データ分析にある程度触れてきた人にとっては超基本です。
しかし、その分野の経験がなく、Excelの基礎を体系的に学ぶ機会もなかった場合、同じ情報を二重、三重に入力する資料を作ってしまうことは珍しくありません。
「そんなレベル?」と思うかもしれませんが、部下の作るエクセル資料を仔細に見てみたら、発見する可能性が十分あります。
「エクセルでは同じデータを何箇所にも入力するのはNG」
「1箇所に元データを集め、そこから引用して別目的に利用するのがセオリー」
こうしたデータ入力・管理の基本も、部下が業務効率を高め、成果を出すために、放っておけない基本スキルの一つです。
依頼・確認・フォロー

営業の仕事ではお客様に何らかの情報提供をお願いすることがあります。
見積作成に際して、社内他部署へ確認を依頼したり、別の営業チームの責任者にアドバイスをお願いすることもあります。
このような時に、遠慮しすぎてしまう人がいます。
相手が忙しいのを気遣って後回しにしたり、「面倒だと思われるのではないか」と考えて依頼をためらったりします。
こうしてさまざまな理由で先送りにした結果、自分の仕事自体に遅れが生じてしまいます。
また、自分の上司に仕事をお願いすることもありますよね。
その仕事を上司が期限までにやってくれなければ、催促する必要がありますが、相手が上司だからと遠慮して放っておくと、結果として自分の仕事の致命的な遅れにつながります。
上司からすると、
「そんな所でつまづいていたの?さっさと連絡してお願いすればいいじゃない」
と思うかもしれません。
しかし、その本人にとって、「催促」はなかなかにハードルの高い仕事なのでです。
こんな時は「遠慮しないで、もっと積極的に動こうよ」と抽象的に指導するだけでは抜本的な解決になりません。
なぜ、遠慮してしまうかの原因を本人に考えさせることも重要です。
例えば取引先に必要な情報をお願いできずに仕事が進んでいないのであれば、
- なぜお願いしづらいと感じてしまうのか。お願いすることで何が起きるのを恐れているのか。
- お願いしやすい関係にするために、普段どのような付き合いをしておくのがよいか
- 相手に快く引き受けてもらうために何ができそうか
- 返答がない場合、次にどのようなアクションを取るべきか
といったことを本人に考えてもらい、心の障壁を取り除く工夫や技の習得を進めていきましょう。
人に聞けない、頼めない、催促できない状態を放置すると、仕事の停滞が常態化し、成果が出にくい原因になってしまいます。
まとめ
部下が結果を出せないとき、上司はつい、彼らに高度なスキルや専門知識が足りないのではないかと考えがちです。
しかし実際には、タスク管理、メールへの返信、資料整理の方法、人への依頼や確認といった、ごく基本的なことでつまずいているケースがあります。
しかも、こうしたスキルは「できて当たり前」と思われるため、本人がきちんと教わる機会がないまま年次を重ねています。
成果が出ない部下に対して、さらに高度な指導をする前に、一度仕事の基礎に立ち返ってみてください。
「どこで仕事が止まっているのか」を細かく見ていくと、上司がこれまで気づかなかった意外なつまずきが見えてきます。
基本をしっかり整えれば、仕事のスピードや精度、周囲からの信頼は大きく変わります。
まずはこの「基本」を見直すことに目を向けてみてください。
こちらの記事もおすすめです。






