人事査定の決定版!「会社が求める人材像」の2つの要素とは?コンピテンシーモデルも解説

2020.11.26

あなたの会社では、どのような項目を対象にして人事評価を行っていますか?

一般的な企業においては、『業績』や『成果』という評価しやすい項目が中心になる傾向があります。

 

目標管理制度(MBO)を活用して社員の成長を促そうとしている会社もありますが、目標の対象は業績が中心で、なかなか『能力』や『姿勢/意識』まで含めている会社が少ないのが現状です。

また中小企業を中心に行われている昔ながらの能力評価や勤務態度評価は、以前ほど主流でなくなりつつあります。

それでは人事評価を活かして社員の成長を支援するには、一体どうすれば良いのでしょうか?

 

人事評価制度を用いて会社の求める人材を育てるには?

 

人事評価制度を活用して求める人材を育てるには、人材像の具体化が欠かせません。

しかし、『会社の求める人材像は?』と聞かれても、その内容を具体的に説明するのは難しいのではないでしょうか?

 

会社の求める人材像は2つの要素から構成されます。

  • 姿勢/態度:会社が社員に求める行動規範や価値観を体現した姿勢や態度
  • 業務遂行能力:業務で成果を上げるために重要となる能力やスキル(職種ごとに異なる)

 

具体的に必要な内容をそれぞれ見ていきましょう。

 

①態度/意識

 

ポイントは【会社の価値観と合っているか?

 

明確な会社の価値観があっても、それを評価項目に含めている会社は多くありません。

そもそも会社の価値観や行動規範を定めていない会社もあります。

それではどのようにして、会社に合う評価項目を設定するのでしょうか?

あまり難しく考えず、まずは今いる社員の中から該当する人物を思い浮かべてください。

 

  • あなたの会社の文化や雰囲気に、すごく合っていると感じる社員
  • あなたが目指す企業風土を作り出してくれそうな社員
  • このような人材が増えれば、あなたの会社がもっと輝けると感じる社員

 

そうして頭に浮かんだ社員の特徴を考えてみましょう。

あなたの会社の価値観や、社員に求める態度/意識が見えてきます。

 

出てきた価値観や態度/意識から、とくに社員に意識してもらいたい項目を選び、態度/意識評価の対象項目にするのです。

例えば、『提供するサービス・製品は競合や顧客の変化が激しく、常に社員も会社も成長しないと生き残れない』と感じていた場合は、

『成長意欲』という項目が重要になります。

 

② 業務遂行能力

 

ポイントは【成果を上げるための能力を評価しているか?

 

営業業務と経理業務では、当然、成果を上げるために必要な能力が異なります。

また業界が異なれば競争優位性となる要素も異なるため、求められる能力も変わります。

そこで事業や部門別に圧倒的な成果を上げている社員を取り上げ、その仕事ぶりを整理して必要となる能力やスキルを洗い出します。

洗い出した能力の中から重要な項目を選び、能力評価の対象項目にするのです。

例えば営業職の場合、以下のような項目が対象となるでしょう。

 

  • 顧客志向性
  • 論理的問題解決力
  • 交渉力
  • 企画/計画力
  • 提案力     

 

コンピテンシーモデルで将来の成長イメージを描こう

 

次は社員に各評価項目の具体的な期待内容を、レベル・役職別(若手→中堅→管理職→幹部→経営)に示します。

 

『成長意欲』の場合はこのようになります。

若手自己の成長のために、何をするか、何を伸ばすか
中堅自己の成長に加え、後輩の成長をどのように支援するか
管理職部下の成長を支援できるように、具体的に何をするか
幹部会社として全社員の成長を支援できるように、具体的に何をするか
経営求める人材像に社員が共感し成長を求めるために、具体的に何をするか

 

そしてこのように項目別とレベル・役職別に定義した表は、『コンピテンシー・モデル』と呼ばれています。

 

能力評価や態度/意識評価の基準や根拠は曖昧なため、それらを具体的な行動によって定性的に評価できる方法として徐々に広がってきました。

これを使うことによって社員も自分の成長をイメージしやすくなり、成長意欲が増幅されます。

 

人事評価のサイクルが適切に回っているかを確認しよう

 

①能力開発に関する目標の設定

 

目標設定を行うとき、人材の『能力開発』に向けた適切な目標が設定されているでしょうか。

業績目標は社員一人一人がどのように会社の成長に貢献するのかを考える、重要な要素です。

一方、中長期的な会社の成長を考えると、社員の成長は欠かせません。

コンピテンシー・モデルの中から特に成長させたい能力や注意したい姿勢を選び、どの様な行動ができるようになるのか、具体的な行動目標も設定してください。

 

②目標の進捗管理は毎月行う

 

期首に目標を立てた後に、定期的に部下と目標の進捗状況を確認していますか?

少なくとも月に1回は面談し、進捗状況を確認してください。

また進捗状況に対する認識に問題がある場合、部下が自ら気付くように促しましょう。

そして面談の結果を記録し、期末の評価時に備えましょう。

 

③目標に対する評価は丁寧にフィードバック

 

設定した目標に対する評価は、通常期末に行っていると思います。

ではそれをどの様にして部下にフィードバックしていますか?

 

評価に対するフィードバックが大切な理由は、立てた目標に対して『よかった点』と『悪かった点』を客観的に理解し、次年度の目標設定に活かすことが大切だからです。

期末は業務に評価にと忙しい時期ですが、是非部下との時間を取ってください。

 

最後に

 

いかがでしたか?

忙しい日常のなかで評価を行うと、どうしても評価をすること(終わらせること)に意識が移りがちですが、

このように具体的な内容を設定することで評価がしやすくなり、求める人材に対する目標もクリアになります。

 

あなたが自分たちの人事評価を点検し、社員の成長に役立つ人事評価ができるようになることを心より願っています。

 

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筆者紹介

株式会社インターブリッジグループ マネージャー

大西隆仁

幅広い企業に対して、課題の特定から解決まで長期的な視点で支援しています。企業理念再整理やビジョン策定、実現に向けた戦略立案、遂行に向けた変革活動に対し、クライアントに伴走する形で関わらせていただいています。

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