自社の魅力
中小企業の社長とお話ししていると、「うちの会社はとりたてて魅力もないからな~」とおっしゃる方がいます。
私はそれに対して、必ず2つのことをお伝えするようにしています。
1つは、「社員が御社で辞めずに働いているということは必ず何らかの魅力があります!」
もう1つは、「ではもっと魅力を作っていきましょう!」
人材を惹きつけ、その人材に長く活躍してもらうことは企業発展の生命線。
そのためには自社の魅力を見つけ、いかに磨いていくかが大切です。
それらは人材の採用や定着においても大きく影響するものであります。
今回のブログでは「企業の魅力の見つけ方・磨き方」についてお伝えしていきます。
目次
あなたの会社で働く魅力を4つの観点で整理
社員があなたの会社で働いているのは、必ずそこに何らかの魅力を感じているからです。
本当に何もなければ辞めるはずなので、必ず何かがあります。
まずはその魅力をしっかり認識しましょう。
以下のチェックリスト(4つの観点)を使用して整理するとわかりやすいです。
さて、あなたの会社はどの魅力が高いと言えますか?
企業の4つの魅力をいかに組み合わせるか
企業によって魅力は異なる
先ほどのチェックリストを見て「うちは魅力が少ないなあ」と思われたかもしれませんが、4つの魅力が全て高い会社はないといっても過言ではありません。
それぞれの会社ならではの個性に合った魅力があればいいと思います。
例えば典型的なケースを想像していただくと
大企業
働く環境(3)や安定度(1)が高く、報酬(4)も十分です。
人間関係(3)が悪かったり、官僚的な組織だと成長(2)が遅い場合があります。
スタートアップ
報酬(4)は望めませんが、世の中に革新的な事業をやっているという事業内容への共感(1)や、仕事を沢山任されるので成長できる(2)といったメリットがあります。
働く環境(3)はまだ整っていません。
外資系企業
成果に対する厳しいプレッシャーで成長(2)のスピードが早く、頑張れば報酬(4)も高い魅力があります。
職場の人間関係(3)はドライだったりしますが、オフィス環境や勤務の柔軟性(3)などは進んでいます。
すべての魅力を網羅する必要はない
さらに、人によっても企業に何を求めるかが異なります。
新卒の優秀な学生に大企業を選ぶ人もスタートアップを選ぶ人もいるのは、単純に「どちらの会社がいいか悪いか」ではないからです。
それぞれの魅力は、人材が「自分自身がどのような企業が向いているか?」を考えるときの指標となります。
万人受けを狙う必要もないし、4つ全てにおいて魅力を高める必要もありません。
あなたの会社らしい強みを見出し、そこを磨いていってください。
中小企業の魅力の作り方
会社によって魅力はそれぞれですが、資源の限られた中小企業が良い人材を惹きつけるためにはどこを磨いていったらいいでしょうか。
ある食品メーカーのケースを紹介しますので、1つの考え方として参考にしてみてください。
食品加工メーカーの例(社員数200名+パート)
- 100年近い歴史のある食品メーカーで、大手食品メーカーや小売業と長年継続的な取引をしています。
- 食品業界なので景気変動に強く業績は安定的ですが、売上は長年横ばいが続いています。
- 経営者はオーナー家ではなく外部から招聘した方で、非常に手堅い経営をしますが、ビジョンや戦略はあまり得意ではありません。
- 粗利率が高いビジネスではなく、社員の給与は業界平均並みです。
- 社内の人間関係は悪くありませんが、男性中心で残業が多い昭和っぽい風土があります。
この会社で働く魅力を社員がどのように感じているかを調査したところ、下記のような結果になりました。
この結果を踏まえ、会社が力を入れて強化したのは以下の3点です。
チーム力の向上(単に仲がよい関係から高め合う関係へ)
元々社員同士の仲が良かったが、本音で議論したりお互いを高め合っていく雰囲気はなかった
↓
■各部署やライン単位でのオフサイトミーティングを通じてチーム力を強化
■週末に家族を呼んだイベント、クラブ活動などを促進し、社員同士の交流を増やした
決まったことをメンバーが報告し、上司が指示するスタイルの会議
↓
■単純な報告は日報等で済ませ、会議ではその時に重要なテーマについて担当を決め、
その担当者がファシリテーターとして話し合いをする形を取り入れた
仕事における成長(特に女性社員と若手人材)
女性管理職は誰もおらず、女性社員にはガラスの天井があった↓
■優秀で意欲的な女性を何人かリーダーに登用し、将来的に幹部に育てるべく方針転換した
■パート社員も職場改善活動に参加させるようにし、正社員転換の制度もつくった
■年齢や性別にかかわらず、「優秀な人材にはどんどんチャンスを与えていこう」という考えから
若手人材を働き方改善プロジェクトの責任者に据え、直接社長に提言する役割とした
残業削減(働きやすさの向上)
元々残業が当たり前という風習があり、若手や女性社員の定着を阻害している面があった
↓
■各部署やライン毎に細かな改善策を積みあげ、残業時間を2割近く削減
■社員が効率化を意識するようになった結果、特定の人しかできない仕事をなくそうという意識や、
同僚が休みの時にサポートし合う意識が芽生えた
主に上記3つの施策を通じて、従前に比べた会社の魅力度は徐々に向上していきました。
まだまだ課題も沢山ありますが、会社の雰囲気もどんどん良くなっています。
今回の改善で注力した点
この会社のケースで注視すべきは、注力しない強みも明確にしたことです。
格好いい将来ビジョンや戦略の魅力で引っ張るのは現実的に難しかったので、そこは無理をせず、通常の年度計画をしっかり回していくスタイルを継続しました。
また、社員の報酬をあげるのは財政的に厳しく、そこは段階的に解決する課題として対応しました。
まとめ
食品メーカーのケースで見たように、どんな会社にも社員がそこで働く理由、魅力があります。
その魅力を見つけ、更に磨くこと。そして今は十分ではないけれど、会社の将来像に向けて必要な魅力を磨くこと。
これを通じて、ぜひ会社の採用力や社員の定着率を高めていただきたいと思います。
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