優秀なビジネスパーソンの共通点は「自ら学んでいる」ということです。
日々の仕事を遂行するだけでなく、本を読んだり、セミナーや講座に参加したり、様々な人と会ったり、仕事の時間外で自分に投資をしています。
そういう人たちは成長意欲が高いので、仕事の中で学び、仕事外の時間でも学び、それが車の両輪となって本人を支え、どんどん成長していきます。
結果的に、自ら学ばない社員とは比べ物にならないほど差がつきます。
今週のブログは、仕事外の主体的な学び( 自己啓発 ではなく自主トレ)の重要性についてお伝えします。
学ばないビジネスパーソン
2018年のリクルートワークス研究所調査によると、自己学習をしている人の割合は全体の33%です。
自ら学ぶということをしていない人が7割もいます。
日本生産性本部の「第3回 働く人の意識に関する調査」(2020年10月)ではこのような結果でした。
15.6%というのは恐ろしい低さですね。
また、日本は人材育成にかける費用が諸外国に比べて低いことも長く指摘されてきました。
人材育成投資(OJT以外)がGDPに占める割合はこのようになっています。
アメリカ
1.41%
ドイツ
1.84%
フランス
1.58%
日本
0.23%
( BUSINESS INSIDER「勉強しない日本の社会人。コロナでさらに状況悪化」より )
私が色々な中小企業の社員と接して感じるのは
- 1年を通じて1冊も(仕事に役立つ)本を読まない
- 社外の人に自ら会いに行かない
- セミナーや勉強会などにも参加しない
このような人が結構多くいることです。
上記のデータを見ると、ビジネスパーソンの学び事情は大変憂慮すべき状態と言えます。
「自己啓発」は時代に合わない
企業の人材育成の中で「自己啓発」という言葉がよく使われますが、この言葉は、学びが不可欠である今の時代には悠長なニュアンスになってしまいました。
「自己啓発」の意味は、本人の意思によって自分の能力を高めたり、精神的な成長を目指すことを指します。
社員教育でこの言葉が使われる時は、「必須ではないけれど、なるべく自ら学んで欲しい」という柔らかな期待、願いが込められています。
こういった場合、自己啓発をやるかやらないかはあくまで本人に委ねられています。
そんな状態で(自ら学ぶことなしに)、本当に戦っていけるでしょうか?
私は「自己啓発」というゆるく推奨する言葉ではなく、「自主トレ」という強く推奨する言葉がふさわしいと思います。
今の時代は「社員はおしなべて自主トレを欠かさず行ってください」というメッセージが必要です。
プロのサッカー選手や野球選手は、チームの決められた練習の時間以外も自主トレを欠かしません。
試合で活躍するため、年間を通じていいパフォーマンスを発揮するため、自主トレをやらない選択肢はありません。
会社員も同じではないでしょうか。
仕事をしていたら自分の至らないところにたくさんぶちあたります。
スキル不足、知識不足、交渉力不足、指導力不足、思考力不足、ミスコミュニケーション、人間関係の問題、意欲の低下などなど・・・
これらの課題1つ1つを改善できる方法やノウハウを、仕事の時間内だけで学び体得するのは現実的ではありません。
課題を克服するためには、自らどうやったら克服できるか考え、それに向けた仕事外の学びが欠かせません。
職場の変化も「自主トレ」を求めている
近年、クラウド型の業務システムの増加が象徴するように、書類作成、チェック、転記、押印などの単純業務がどんどん効率化、削減されています。
工場の作業もさらに自動化が進むと、単純作業系の仕事は相当なスピードで減っていきます。
社員には、より付加価値の高い仕事、時代の変化に応じた仕事に移行してもらわねばなりません。
この変化を乗り切るには、業務を通じて学ぶだけでは環境の変化スピードについていけません。
仕事外の自主トレは、会社のためというよりも、社員1人1人が将来にわたって社会に必要とされる人材であるために欠かせない活動といえます。
スポーツ選手が選手生命を延ばすように、ビジネスパーソンも選手生命を延ばして生き残るには、自主トレが必須です。
社員が自主トレする文化づくり
「自己啓発」推奨から「自主トレ」へ切り替えていくには、以下のような転換を目指しましょう。
- やるやらないは本人任せ
- 資格の勉強に走る人が多く、多くの場合で仕事に使えない
- 何を学んでいいか、本人がわからない
- 「真に力のある人が正しく評価される制度」がない
- やらない選択肢はない
- 仕事に活かせる学びを行う
- 上司などからの的確なアドバイスがある
- 「真に力のある人が正しく評価される制度」がある
自主トレを促進するサポート
「自主トレ」は “自主” なので、基本的には本人自ら行うことですが、それを後押しする仕組みを会社として用意すると、なお盛んになるでしょう。
学び方はたくさんありますが、本人がある程度取捨選択できるような機会は用意する価値があります。
- 推薦図書を提示する(会社または所属部署として大事にしている能力や価値観が学べる本、実務を離れ発想力や人間力を学べるような本など)
- 本人がどのような能力を重点的に伸ばしたらよいかのフィードバックを定期的に行う(スキルに偏らず、仕事の姿勢、考え方などの観点も含める)
- 自己分析、将来のキャリアなど、内省を促す問いかけ
- 「自主トレ」予算補助(本人が参加したい研修費用などを会社が負担する)
- 部署別や職種別などの勉強会を開催(成功事例、失敗事例、トレンド共有など)
- 社外のユニークな人材の紹介
- 他社への出向など、大いなる刺激を受ける機会の提供
まとめ
ビジネス環境が大きく変化している今の時代、日々の仕事を着々とこなすだけの人材は長く価値を出していくことができません。
誰もが仕事外の時間を使って「自主トレ」を行い、能力を継続的に高め、変化に対応していくことが求められます。
それが実行できる人材は、どんな環境変化があろうと長きにわたって必要とされます。
そうした人材が主役の会社は今後も大いに発展していくでしょう。
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