色々な会社の会議に参加することがありますが、良い議論ができていない、ほぼ 意味のない会議 が少なくありません。
問題の原因をしっかり議論する前に部長の鶴の一声で方針が決まってしまったり、
いい意見を持っているのに発言しない人がいたり、
なかなか「参加者の英知を結集した有意義な議論」という会議の本質が達成できていません。
今週のブログでは、会議で良い議論を妨げる7つの心理的要因についてお伝えします。
良い議論を妨げる7つの心理的要因
会議にて、発生した問題の解決策について良い議論をするためには、問題の原因をしっかりと掘下げ、真の原因を把握することが第一歩です。
その上で、どのような解決策があるか参加者の様々な意見を結集し、フラットに議論を交わしながら、あるべき結論が導き出されていくのが理想の流れです。
誰しも自分の意見を言わずにやり過ごしたり、つい遠慮して発言を躊躇した経験があると思いますが、参加者がそのような状態になっているのは望ましくありません。
下記で「議論を妨げる(心理的)要因」について詳しく見ていきましょう。
力関係
「上司が部下の意見を遮ったり、頭から否定する」
本来議論においては、いったん上下関係抜きにお互いの知恵を出し合うべきです。
しかし、立場の強いものが強引に自分の意見に従わせるべく、異なる意見を聞こうとしない人もいます。
そういう人がいると、立場の弱い人は意見を出しづらくなり、良い考えを持っていてもそれを発信しません。
上司の意見が違うと思っていても、「わかったか!?」と言われたら「はい、わかりました」と言ってしまう人も多いでしょう。
これでは会議を開催する意味がほとんどありませんね。
自己保身
「自分の意見があるにも関わらず、自分の立場などを考えてあえて言わない」
例えば自分が担当している商品に問題があることに気づいたら、それをしかるべき人に伝えて改善を進めるべきですが、自分の失敗とされることを嫌がり、あえて意見を言いません。
仕事の指示が間違っていることを部下から指摘された時、上司が素直にそれを認めず、無理矢理元の指示通りやらせるようなケースもあります。
上司に気に入ってもらうために思ってもいないことを敢えておべっか発言する人もいます。
これらは褒められるべき行動ではありませんが、人間はそこまで強くありません。
必ずしも当人を責めるのではなく、いかにそうならない状態を作るかが大事です。
発言者の偏り
「限られた数名ばかりが議論するため、入っていけない人がいる」
会議に積極的に参加する姿勢は素晴らしいことですが、そういう人の中には
発言がだらだら長い人、人の意見を聞こうとしない人、アピールの強い人
そんな人たちが混ざっていたりします。
結果として、それ以外の人が発言しづらい雰囲気になってしまいます。
本来、発言は自ら能動的にすべきものですが、「まだそこまでの勇気と経験値はないけど、良い意見を持っている人」もいます。
いかに発言者を適度に分散させるかは、ファシリテーターの重要な役割です。
仕事を増やしたくない
「発言すると自分の負担が増えてしまうので、あえて意見を言わない」
保身と少し似ていますが、会議で問題を指摘すると
「じゃあ、あなたのところで対策を考えてもらえますか」とブーメランのように自分に返ってくることがあります。
つまり「意見を言えば仕事が増え、黙っていれば仕事が増えない」という局面では、仕事が増えるのを恐れて意見を言わない人がいます。
本来会社として手を打つべきことが、一個人の仕事量への懸念から見過ごされてしまうのはとても恐ろしいことです。
変化への怖れ
「自分の仕事が変化するのを本能的に恐れている」
これまでの慣れた仕事のやり方が変わったり自分の担当が変わると、新たな知識を吸収し、新たな人間関係を作る必要があります。
そういう新しいことへの恐れから、現状を変えたくないという心理です。
会社のために正しいことを進めるべきとは思っていますが、自分自身が変化することに怖れを感じたり抵抗する人はかなり多いのではないでしょうか。
ダーウィンが「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るわけでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。」と述べていますが、
逆を言えば「変化できる者は少ない」ということです。
人は本能的に変化への怖れを示すことを理解して、議論を進める必要があります。
精神論頼み
「途中で議論を諦め『気持ちで何とか乗り切りましょう』のような流れになる」
簡単な問題であれば、会議の議題にあがりません。
わざわざ会議を開いて議論するような問題は、解決の難易度が高い問題です。
よって、会議に上がる問題を掘り下げ、あるべき打ち手に辿り着くのは簡単ではありません。
参加者たちも精神論では解決にならないことを分かっていながら、「とにかく気持ちで何とか乗り切りましょう」のように言われると、1つの救済策が天から降りてきたような気がして、それにのっかってしまいます。
非常によくある光景ですが、このような精神論が出てきたら、議論が途上で終わってしまっていないか、本質から目を背けていないか、点検する必要があります。
謝罪で幕引き
「担当者の『大変申し訳ありませんでした。以後注意します』で解決としてしまう」
発生した問題の対策を議論するとしたら、その根本的な原因を探り、以後その問題が発生しないような対策を考える必要があります。
ところが問題を起こした部署の担当者が
「大変申し訳ありませんでした。以後細心の注意で問題が起こらないよう取り組みます」
と言い、その上司が
「●●君も自分の責任を感じて、今後気をつけると言っているので・・・」
と言って終わりに向かう展開になりがちです。
会議は「謝罪の場」ではなく、「対策を議論する場」です。
しかし、謝罪発言が前面に出てくると、「じゃあとりあえず気を付けて頑張ってもらいましょう!」のような場の空気が醸成され、議論半ばで終わってしまうのです。
こういう時は担当者個人を責めるのではなく、少なくとも担当者の業務周辺で問題が起きた以上はそこをグッと深掘りしないといけません。
そうやって、見えたら困る現実まであぶりださなければ、今後の良い対策は決して生まれないでしょう。
まとめ
以上、会議でよい議論を妨げる7つの(心理的)要因について見てきました。
これらの要因以外にも、会議の事前準備、会議の目的の明確化、参加メンバーの選定、参加者の能力、議論に必要な情報の不足、時間管理・・・など様々な要因はあります。
しかしそれ以上に上記7つを問題にしたのは、これらは人の心理的背景が要因であるため、解決が簡単ではないからです。
次回のブログでは、この7つの要因で会議が停滞するのをいかにして防止するか?という対策についてお伝えします。
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