多様な人材
組織の多様性が重視されるようになって久しいです。
「強い組織には 多様な人材 が不可欠」とも言われ、日本政府もダイバーシティ経営を推進していますが、実際に多様性を組織に活かせている会社はどの程度あるでしょうか?
多様性をうまく活かせない場合、その組織は「単に多様なだけでベクトルのばらばらな組織」になりかねず、従来の同質性組織に勝てないかもしれません。
今週のブログでは、多様性が強みに転じるような、多様性を活かすマネジメント、組織づくりについてどのように取り組めばいいかをお伝えします。
目次
組織の多様化は避けられない
近年、組織の多様化は望む望まないにかかわらず、既にあらゆる会社で進行中です。
「働き手の多様化」と「働き方の多様化」の掛け算が多様化を加速させています。
「働き手の多様化」
女性・シニア・外国人など担い手の多様化、若年世代の減少、転職の増加、労働者の流動性の高まり✕
「働き方の多様化」
リモートワーク、副業/複業、週休3日社員、フリーランス、男性の育休取得
とりわけ少子高齢化による労働力不足、新型コロナウイルスにより労働環境が変わったことが組織変容を加速させ、多様化は後戻りすることのない規定路線になりつつあります。
このような状況下、長年同質性組織に慣れてきた日本企業の経営は、多様性の活かし方に慣れていないため、早急に改善が必要な状況になっています。
同質性組織は強い
日本の従来の「同質性組織」には侮れない強さがあります。
あなたの周りでもそういう会社を見たことがありませんか?
新卒採用されたメンバーたちが、近しい経験を通じて企業文化や価値観を叩き込まれ、社長が決めた方針には絶対服従しています。
社員同士のバックグラウンドや社内キャリア、考え方が非常に近いので、意思の疎通がスムーズで議論もまとまりやすく、コミュニケーションコストが抑えられます。
これは統率のとれた体育会組織のように、トップに従って決めた目標に向けて皆が一丸となって突き進む強さがあります。
多様性の強さ
一方で、多様性組織が同質性の組織に対して優位性があるのは、変化対応力です。
同質性組織は、変革期においても従来のやり方に捉われ、それに異を唱える人が出現しないため、時代に乗り遅れる弱さがあります。
また、トップの考えに依存しすぎることで「トップが判断を間違えたら終わり」という恐さもあります。
多様性組織はさまざまな考え方、価値観の人間が集まっているので、既存のやり方に異を唱えたり、全く新しい発想をしたりする人が出現します。
例
- テレアポ主体の従来型営業手法
→別業界から転職してきた社員の提案により、従来型の営業からウェブマーケティングによるインバウンド手法へ
- 年配男性ばかりで開発した家電製品
→女性社員やイクメン男性たちの意見を取り入れ、生活者視点に根ざした新商品を開発
このような変革ができることが、多様性組織の強みです。
多様性は、持続的な成長や競争優位性を維持するために必要不可欠な要素となっています。
多様な人材 を活かすには
多様性組織は単に多彩な人材が集まるだけでは意味がありません。
多様性を最大限に活かすためには、組織が個々のメンバーの長所を引き出し、個性が最高の化学反応を起こすよう、組織として必要があります。
自由に意見が言える環境
多様性は、色んな人の色んな人の考えがぶつかり合う過程に価値があります。
せっかく良い意見を持つ人がいてもその人が遠慮や忖度で意見を発しなければ多様性は絵に描いた餅になり、価値が実現されません。
よって、組織が自由な意見交換を促進させ、メンバーが自由に意見を発信できるようにすることが必要です。
他人からの指摘を受け止める度量
自由に意見を言うということの裏返しは、他人から率直で厳しい指摘を受けることに他なりません。
よって、部下から意見されるのを嫌がる上司などがいたら、これは成り立ちません。
相手の年齢や性別に関係なく、他人から言われた意見を謙虚に素直に受け止める姿勢、もし相手の意見が違うと思っても頭ごなしに否定せずいったん受け止める姿勢が欠かせません。
普段から、そのような企業文化やコミュニケーションの習慣をつけておく必要があります。
会議上手、ファシリテーション上手
同質性組織の会議は全体の意見がまとまりやすく、責任者が右と言えば右になるので、会議がとても簡単に進行します。
しかし多様性組織では立場に関係なくさまざまな観点からの意見が出るので、会議が活性化する一方、収集がつかなくなりやすいです。
またメンバー同士が阿吽の呼吸でお互いが察し合うことも期待できないため。会議設計とファシリテーションが非常に重要です。
多様なメンバーで生産的な会議を行うには、会議の議題設定、事前準備、ゴール設定、議論の進め方などの会議設計が必要です。
議論が逸れた時に元に戻したり、意見の噛み合っていない議論があったら誰かが間に入って翻訳して相互理解を促すなど、会議をスムーズに進めるためのファシリテーター役も不可欠です。
常に議論の質を高めるためにも、特定の人がファシリテーターになるというよりは、メンバーそれぞれがファシリテーションの意識を持つことが大切です。
相互信頼、相互尊重
よい議論、相互作用の大前提として、お互いの信頼や尊重がベースになければなりません。
「社内政治や忖度」のない文化を育て、メンバー1人1人をかけがえのない存在として認め合う企業文化をつくることが何より重要です。
そして、経営者・経営幹部の姿勢がその鍵を握っています。
トップが率先して相互信頼や尊重を大切にする姿勢を見せることが、何よりも社員たちに良い影響を与えます。
まとめ 多様な人材を活かす
働き手と働き方が多様化する時代において、組織として多様性をどのように受け入れ、取り入れていくかが問われています。
多様性を活かせる会社は、時代の波を乗り越えて生き残る成長力を手に入れることができるでしょう。
多様な人材が「存在するだけ」では企業に価値を生み出しません。
多様な人材が相互作用を及ぼし、時代の変化に対応できるような、強い組織風土をつくっていきましょう。
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