「 2年目研修 」が欠かせない理由|若手社員に長く働いてもらうために会社がすべきサポートとは

2023.04.06

2年目研修 

新入社員が入ってくる4月は会社全体がフレッシュな雰囲気になり、先輩社員も身が引き締まる気持ちになります。

新入社員を迎える会社では新入社員研修が行われ、ビジネスマナーに始まり、社会人の心がけ、基礎スキルなどの習得を目指します。
 

この研修を経て新人たちは各部署に散らばり長い社会人生活がスタートしますが、その後は会社としてどのようなフォローができているでしょうか?

例えば1年後や2年後など、その後の成長を支援する仕組みはあるでしょうか?
 

とくに入社1年後は、これから2年目に差し掛かる社員にとって大きな節目であり、

この重要な機会を活かさない手はありません。
 

今週のブログでは、新入社員研修の1年後に「2年目研修」を行うべき理由と、その研修でどんなサポートを提供すべきかを具体的にお伝えします。

  

「 入社1年後 」は誰しも悩むもの

 

入社1年後は本人にとって1つの区切りです。

あなたも自分が社会人1年目を終えた時の気持ちを思い出してみてください。

心の中でたくさんの悩みがあったはずです。

 

自分はこの仕事に合っているだろうか?

この先自分はちゃんと成長していけるだろうか?

今の給料では生活もぎりぎりだが、この先給料は上がっていくだろうか?

職場の人間関係は上手くやっていけるだろうか?

この会社の将来は大丈夫だろうか?

 
などなど

 

このような悩みを抱えていたとしても、普段それを相談できる同僚や先輩がいる人は多くありません。

答えの出にくい悩みを必要以上に悩んでしまい、結果として退職を選ぶ社員もいることでしょう。
 

せっかくあなたの会社を選んでくれた新入社員です。

長く働いてもらうために、また本人の今後のキャリア・人生をより良いものにするためにも、1年目終了時点での振り返りがとても大切です。

 

新卒3年以内離職の理由

 

アデコグループが2018年に行った「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」では、離職理由の上位5つが次の通りです。

2年目研修

 

仕事内容、待遇面、自分の成長、働き方、人間関係など、典型的な悩みが上位にきていることがわかります。

 

新入社員研修の1年後・・・「 2年目社員 」に提供すべきサポート

 

1年の区切りで本人の気持ちを新たにリセットし、早期離職という残念な結果にしないためにも、会社として「2年目研修」を実施し、以下の対策を行いましょう。

 

面談

 
まずは1人1人と面談の機会を持ちましょう。

面談の場では、上記の離職理由も参考に下記の観点で本人の思いを傾聴します。

 

2年目社員の面談で聞く内容の例

 

  • 仕事内容(入社前に思っていた仕事と実際のギャップ、仕事量、難易度)
     
  • 待遇面(報酬、評価の納得度)
     
  • 自分の成長・今後のキャリア展望
     
  • 働き方(残業、休日、ワークスタイル)
     
  • 人間関係(上司、同僚)

 

その他
 

  • 職場特有の問題があれば、それについても話を聞いてみましょう。
     
  • 本人の思い込みがあればきちんと説明し、不安を受け止めてあげます。
     
  • 待遇面や上司との関係など「すぐに解決の難しい問題」もありますが、見直すべき問題であるならば人事として何らかの対策を考えることも伝えてあげましょう。
     
  • 望まぬ長時間労働の状態化などは早急に対策が必要です。
     

 
以上の面談を行った上で、本人の上司に必要な情報、ケアすべきことをフィードバックしてください。

会社として解決すべき問題が出てきたら、社長を交えてしっかり話し合いましょう。

 

「 2年目研修 」の実施

 

社会人になって1年が経過すると、新入社員当時のフレッシュな気持ちが減退して仕事が惰性になっていたり、どこか諦めの気持ちが芽生えていたりします。

後輩が入ってくるので、自分が1年でちゃんと成長できたか?という気持ちの焦りもあるでしょう。

このタイミングこそ、マインドセットを改めて整えるいいタイミングです。
 

そこで、「2年目研修」として対象者を集め、良い仕事に不可欠のマインドセットについて、振り返る場を持ってください。
 

私は若手社員に対して下記5つのマインドセットを推奨しています。(※あくまで私の推奨なので、あなたの会社の人材育成において重要な観点を足し引きしてみてください)

いずれも「言うは易し、行うは難し」ですが、これらが実践できるビジネスパーソンは将来にわたって伸びしろの大きい人になれるでしょう。

 

若手社員の5つのマインドセット

 

1. 目的志向 

→依頼された仕事の背景や目的を常に意識する。ただこなすだけの作業をしない
 

2. 信頼獲得 

→目の前の1つ1つの仕事に真剣に向き合い、信頼される仕事をする。挨拶、感謝、謝罪を大事にする
 

3. ポジティブ・主体性

→仕事を前向きに捉え、何ごとにも積極的に取組み、自分らしさを発揮する
 

4. フォア・ザ・チーム

→相手の立場や組織の全体を考える(情けは人のためならず)。互いの意見をしっかり伝え合い、リーダーに協力する
 

5. 原因自分説

→素直な心、謙虚な気持ちで他人の意見を受け止め、上手くいかない理由を他人のせいにしない

 

マインドセット研修の具体的な進め方

 
5つのマインドセットを振り返る研修は以下の進め方がおすすめです。

あまり手をかけずお金もかけずに実践できる方法です。

 

【事前準備】

1. 上記5つのマインドセットについてのレポートを書いてもらう

1年間を振り返り、5つの観点において自分自身の良かった点、改善すべき点を書いてもらいます。

2. 上司からの評価コメントをもらう

可能であれば、本人の上司から5つのマインドセットにおける評価コメントをもらっておくとなおいいでしょう。

【研修当日】

3. 上記5つの観点について順番に振り返りを共有

各自がレポートを持ち寄り、4名程度のグループに分かれて行います。

上司評価があれば、そのコメントと自己認識のギャップについても振り返ってもらいます。

4. 先輩社員の話を聞く

若手メンバーから信頼されている先輩社員(できれば入社4、5年目)にも研修に参加してもらい、各テーマについて「自分が2年目の頃にどんな悩みがあり、どのように克服したか」などを話してもらいます。

5. 講師の話を聞く

続いて講師役の人が「この5つの観点がなぜ大事か?」「長いビジネス人生において5つを体得することがどれだけ大きな財産になるか?」などについて話をします。

できれば事例なども紹介した方がいいですね。

6. サマリーを共有

最後に改めて5つのマインドセットにおいて、「今後自分の行動をどのように変えていきたいか?」「何を意識していくか?」などについて内省し、改善目標を立て、皆の前で発表してもらいます。

 

まとめ

 
新入社員研修をしっかり行っている会社でも、2年目以降の育成は現場任せになりがちです。
2年目社員は仕事に慣れてきたものの、日常のルーティンに追われ、目標感を見失っていることもよくあります。

入社1年後は、過去の1年を振り返り、2年目に向けて気持ちを新たにする絶好のタイミングでもあるので、ぜひここで成長をサポートする機会を提供しましょう。

1人1人と向き合う面談を行った上で、仕事に向き合うマインドセットを整えるための研修を実施するのが効果的でおすすめです。

 

 

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筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

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