ミーティングは「進め方」を工夫すれば人材育成道場になる

2020.03.19

あなたの会社のミーティングにおいて、「社長や幹部が一方的に話すばかりで社員から意見が出てこない」と嘆いている方はいませんか?

ミーティングはその進め方次第で効果が大きく変わります。

改善した方がいいのは、
 

  • だらだら報告会
  • 誰かが一方的に説教するだけのミーティング
  • 何の意見も議論もないミーティング

 
これらをやめて、今すぐ次のような工夫をドシドシしてみてください。

 

ミーティングの前に事前準備をさせる

 
例えば、「オフィスのレイアウト変更」について話し合うとします。

「職場活性化の一環でレイアウト変更をしたいと思います。今は○○のような案を何となく考えています。。それでは皆さん、ぜひ意見を出してください」

このような始め方は避けましょう。これではただの話し合いになり、社員の育成にはつながりません。

ではどうすればよいでしょうか?

それは「事前に指名して、議事進行をまかせる」

担当者には事前準備として、

 

  • 現状のオフィスの課題、社員の不便・不満などは何か
  • どのような改善案が考えられるか

 

以上の2点を簡単に整理しておいてもらいます。

その上で会議開催前に、オフィスレイアウト変更について話合う旨をミーティング参加メンバーに案内し、あらかじめ内容を考えてもらいます。

当日はの流れはこのようにしてください。

 

  • 議事進行役が整理したメモを最初に説明
  • その後、社長や幹部から趣旨を説明
  • さらに皆で議論

 

このようにミーティングを進めれば、限られた時間の中で有意義な議論がなされ、社員が自分達で考える習慣が身につきます。

 

人材育成につながるミーティングの進め方

進行ルールを決める

 
営業報告会議で、あなたが5人の営業課長から前月の動きを報告してもらうとします。

その場合、報告にルールを決め、発表時間も決めましょう。

例えば、次のように細かく発表の項目と順番を決めてルール化します。

 

  • 先月の業績(対予算/対前年同月)
  • その要因
  • 市場環境、競合や主要顧客の動き
  • 重要なクレームや品質改善要望
  • 組織、人員の状況
  • 今月の重点課題
  • 先月の重点課題の進捗(←先月決めたことを言いっぱなしにしない)

 

ルール化の一番の目的は、このような流れで物事を考え、ポイントをまとめる習慣づけをしてもらうことです。

聞き手の理解を促進するという狙いもあります。

もしルールがないと、

 

  • 特定顧客の売上が下がった事についてのみ延々と話をする
  • 業績悪化の根本原因にふれず、社員の士気が低いせいだというような表面的な報告を行う

 

などの問題がおきがちです。

しかし進行をルール化するだけで、テンポよく、情報が理解しやすく、参加者のストレスが減り、効率良く進むのです。

 

ファシリテーションにパターンを用意する

 
多くの会議で見られる残念な光景にはこのようなものがあります。

 

  • 全体に対して「意見はありませんか?」と問いかける(なかなか意見が出ない)
  • 1人1人順番に意見を言わせる(意見は言うが、義務で発言するので浅い意見になりがち)

 

そこで、会議進行役はそのファシリテーションの方法にいくつかパターンを持ち、少し変化をつけてみてください。

 

  • 3人ずつのグループに分けて、いったん3人で議論した上で各グループから発表してもらう
  • あなたはいったん席をはずし、メンバーだけで議論を進めてもらう
  • いい意見を持ってそうな人を指名して問いかける
  • 質問の仕方を工夫する
    • 例えば「最近、営業部署の雰囲気が悪いのはなぜ?」と聞かずに、「先月〇〇君が退職したのは、他の社員のマインドに影響してるのかな?」とか、「先月から目標数値を変更したけど、現場の若手社員はどう感じているのかな?」などと、質問を議論しやすい範囲に狭めて尋ねてみる

 

物理的な工夫もあります。

 

  • 毎回誰がどこに座るか固定化しているミーティングが多いですが、思考や関係性も固定化するので変えてみる
  • 立って議論する
  • 会議室自体を変える
  • なるべく窓のある会議室で行う

 

このように、マンネリ化しない様々な工夫を取り入れてみてください。

 

キラーコンテンツを入れて変化をつける

 
当事者意識を高めるために、ミーティングの時間内に人材育成につながるキラーコンテンツを入れてみましょう。

例えば、「先月一番成長の見られた部下を発表」というコンテンツを課長クラスが持ち回りで担当し、全員に共有します。

すると自分以外の課長の部下が素晴らしい成長を遂げたら「自分の課でも何とか頑張ろう」という思いが芽生えるようになりますし、普段は部下の成長に関心の低い課長にも「少しでも意識させる」という効果が期待できます。

「主要取引先定期ヒアリング報告」などもいいですよね。

長年取引が続いているお客様に、自社への要望や今後の可能性などをじっくりヒアリングし、その結果を月に1回持ち回りで営業課長から報告してもらいます。

結果として、顧客との関係を深め、気づきを得る良い機会になります。

コンテンツは他にも色々考えられますが、自社の課題解決や人材育成に関わるネタを用意するのは非常に有効な方法です。

 

人材育成につなげるために重要なこと

 
ミーティングで意見が出ない理由はいくつかあります。

 

  • 意見を言うのに必要な最低限のスキルや知識がない
  • 本人の参加意識が低い
  • 何を言っても怒られるとか、稚拙な意見を言うと場が凍るような雰囲気、受け止めてもらえない雰囲気がある

 

最初の2つは徐々に底上げしていくしかありませんが、最後の1つは人間関係や会議の場づくりの問題です。

まずは、どんな意見でも奨励する。いったんは受け止める寛容さが必要です。

あなたから見たら稚拙な意見ばかり出てくるかもしれません。

しかし続けていればレベルが確実に上がっていきます。

意見を言う人をほめる場にしてください。参加意欲が変わります。

なお稚拙な意見が出た時に、すぐにあなたがコメントするのではなく、別の参加者に「今の意見はどう思う?」とふってみてください。

それを何人か回していけば、当初の稚拙な意見が徐々に深まり、より本質的な内容に近づいてくるはずです。

他人の発言をきっかけに自分の意見を考え、意見をぶつけてゆく感覚を徐々に学んでくれます。

 

まとめ

 
ただ漫然とミーティングをひらき、社員の意見を待っていてもなかなか出てきません。

ここまで述べてきたように、事前準備、報告ルール、場の雰囲気づくり、ファシリテーションの方法などを改善していく。

そうすることによって社員1人1人の考える習慣、意見を言う習慣、議論する習慣が身についていきます。

ミーティングは週に1回開催するだけでも年間50回近くあります。

こんなに回数をこなしているのに、それが単なる報告会や一方的なコミュニケーションに終わっては非常にもったいないです。

人材育成の場ととらえれば、ミーティングが1粒で2度美味しい有効な時間になります。

ぜひ、社員を育て、現場の良い意見を引き出す場に変えていきましょう!

それだけでも、あなたの会社の社員力は格段に上がるでしょう。

 

こちらの記事もおすすめです。

筆者紹介

株式会社SUSUME 代表取締役

竹居淳一

「人と組織が強みと言える会社づくり」を支援しています。人事の領域は年々複雑化、高度化していますが、中小企業で実践可能な視点から人材育成や組織づくりのコツを発信しています。 採用、育成、定着化、評価、組織開発、労務などの一連の領域を分断することなく、全体最適の解決策と実行が強みです。

筆者プロフィール詳細