中途採用者 にはできるだけ早く会社に馴染み、力を発揮して欲しいものです。
中途採用でかかるコストは、仮に人材紹介会社を使うと1人の採用に年収の35%程度もかかります。
さらに採用プロセスにかける手間(=コスト)も加えると非常に大きな投資と言えますが、その割に(新卒採用に比べて)入社時の受け入れやケアに手をかけていないケースが多くみられます。
今週のブログでは、中途採用者が入社後できるだけ早く会社に馴染み、力を発揮してもらうための受け入れ方法についてお伝えします。
目次
中途採用者 の「オンボーディング」の重要性
新卒採用の場合、同じ日に複数の人材が入社するので、入社式にはじまり、導入研修や職場見学、基礎知識の研修など、仕事に慣れるためのサポートなど手厚く行われています。
一方で、中途採用は年間を通じてバラバラのタイミングで入社してくるため、会社としての受け入れ方法が確立していない場合が多くあります。
本社人事が受け入れるステップがなく、初日から配属部署に直接出社する場合も多いので、部署単位での受け入れ方法のバラつきも発生しがちです。
中途採用者は仕事の経験がある人材であるとはいえ、入社時に現場に配属するだけではやはり不十分です。
以下の観点からしっかりサポートをすることで、中途採用者は早期に力を発揮しやすくなります。
1. 会社の理解
2. 仕事をするためのツールや情報源の理解
3. レポートラインの理解
4. 配属部署メンバーの紹介
5. 「会議」の理解
6. 役割、期待の擦り合わせ
7. 社内の人間関係づくりサポート
8. 働く上での注意点
9. 本社人事とのコネクション
では、それぞれを詳しく見ていきましょう。
会社の理解
中途入社者は面接を通じて会社の理解がある程度進んでいるとはいえ、まだまだ十分とは言えません。
入社したらすぐに、会社の歴史、事業内容、ビジネスモデルなどの特徴、各部署の業務内容、拠点、企業文化、会社の強み、会社の弱みや課題などを伝えてください。
仕事をするためのツールや情報源の理解
・社員同士のコミュニケーションにはどのような手段を使っているか。(チャットやメールなど)
・それぞれのコミュニケーション手段の使い分けはどのようにされているか。
・社内の掲示板や業務用の共有フォルダなどの情報はどこを見ればよいか。
・業務上の申請などはどのような方法で行ったらよいか。
このようなツールの利用方法や参照すべき情報は会社によって異なるので、入社のタイミングでしっかり伝えておく必要があります。
レポートラインの理解
自分の直属の上司が誰かは非常に重要な情報です。
ここがはっきりしないと、何かわからないことがあった時に誰に相談していいか戸惑ったり、業務を進める上での相談相手もいなくなってしまうので、最初に明確に伝えておく必要があります。
上司とコミュニケーションをとるタイミング、取り方、報告頻度などの目安も話し合っておくのがおすすめです。
どうしても直属の上司が曖昧である場合、「困った時は誰に相談したらよいか」は伝えておきましょう。
配属部署メンバーの紹介
入社後一緒に仕事をする同僚の皆さんと挨拶してもらいましょう。お昼ご飯なども一緒に行けるとなお良いです。
職場の同僚がどんな人たちか、皆さんがどんな仕事をしているか、自分は誰と主に仕事をしていくことになるか、それらが分かるだけで大きな安心感があります。
できれば挨拶だけではなく、お互いに会話をする時間をとってください。
「会議」の理解
配属される職場ではどのような会議があるか・職場内の連絡やりとりはどのように行われているか等も大事な情報です。
入社して間もないタイミングで、自分だけ呼ばれず周囲のメンバーだけで会議をしていると非常に不安を感じるものです。
自分がどの会議に参加する必要があるか、それ以外にどのような会議があるかも伝えておくことで、中途採用者は変な心配をせずに仕事に集中できます。
また職場内の情報網に組み入れることで「情報にキャッチアップできない」心配も解消されます。
役割、期待の擦り合わせ
中途採用の場合、内定の段階である程度役割は決まっているものですが、入社したタイミングで改めてしっかり擦り合わせをしましょう。
具体的な仕事内容、求める成果・目標、おおよそのスケジュールを伝えてください。
本人の役割だけでなく、配属部署自体がどのような役割と目標をもっているか、
さらに当該部署の中で各メンバーがどのような役割を担っているかまで理解してもらうと、お互いの認識のズレがなくなります。
なお、入社間もないタイミングでは、簡単な業務でもよいので成果が見えやすい仕事をやってもらうことで本人も早く貢献感を得ることができ、職場に馴染みやすくなります。
皆が「あの仕事は誰かがやらなきゃ」とずっと思っていたのに手がついていない業務があるならば、それを入社したばかりの人にやってもらうのもいいですね。
完遂すれば同僚皆に感謝されること間違いなしなので、周囲に認めてもらいやすくなります。
社内人間関係づくりサポート
業務上関わりの出る社外の取引先、社内他部署の人材、キーパーソンなどへ紹介しましょう。
すぐに仕事を進められるよう、関係者と挨拶を済ませ、両者の連絡手段なども交換してください。
何か聞きたいことが出たときにすぐに聞いたり、力を貸してもらったりできる関係をつくっておくのが目的です。
働く上での注意点
どこの会社にも明文化されていない暗黙知のスタイルがあるものです。
例えば、電話がなっている時に誰がとるかの習慣に違いがあります(気づいた人がとる会社もあれば、同じ島の人がとるのが原則であったり、基本は若手社員がとっているなど・・・)。
掃除や整理整頓のルール、ゴミ捨てのルールなどもあるので、最初に伝えておきましょう。
上記は細かいことではありますが、新たに入社した人がこのような基本的なところでお手付きをしてしまって、周囲に認められないこともありえます。
仕事中の雑談頻度、外出する際の連絡、出社が遅れる時の連絡方法など、会社それぞれの暗黙のルールがあるので、それらも最初に伝えておきましょう。
本社人事とのコネクション
中途入社者がどうしても直上司とソリが合わないことがあります。
上司が面倒を見ようとせず、放置してしまうケースもありえます。
そのような時に備えて、本人が本社人事と簡単に連絡をとれる方法は確保しておきましょう。
上司を経由せずに本社人事とコネクションを持っておけば、どうしても困った時に頼ることができます。
人事としては、客観的な立場から本人が職場に馴染むためのサポートや、必要に応じて上司への指導や教育なども行うことができます。
ただし温室育ちにならないように
中途採用した人材が入社日から1日でも早く溶け込み、仕事で成果を発揮するための初動準備についてお伝えしてきました。
かなり細かなサポートまでカバーしているので「やり過ぎ」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、やってマイナスになることはほとんどないと思います。
注意点は、中途採用者に「周りが何でもサポート、お膳立てしてくれる」と思わせてしまい、
他人に頼り過ぎてしまうのをいかに防ぐかという視点です。
中途採用者が仕事で成果を出して認められるためには、前任者や同僚がこれまでやってこなかったテーマや避けていた問題に切り込んでいくべきです。
「従前と同じやり方の踏襲」だけでは、経験のある中途採用者のパフォーマンスとして不十分なので、自ら感じた課題に対して自ら解決に取り組んでいってもらいましょう。
仕事を進めるにあたっては、社内の誰に聞いたらよいか、誰がもっとも的確な回答をしてくれるか、誰が一番詳しいか、などを中途採用者自ら試行錯誤することも大事です。
上司から繋いでもらった人に限らず、自ら社内のネットワークを広げ、色々な人と話をし、会社がどのように動いているかの全体像の把握に努めてもらいましょう。
外の経験を積んできた人ならではのフレッシュな視点にこそ価値があるので、本人の考えにもとづいて自由に動きまわれる余地も残しておいてください。
そこでどう行動するかに、当人の実力、行動力、人間力などが見えてきます。
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