今の時代、企業はますます即戦力を求めるようになっています。
変化のスピード、業界の垣根を超えたナレッジの獲得、業績へのプレッシャー。理由はさまざまです。
技術革新のスピードが早まり、企業はより即戦力を求めるようになったという説明がありますが、このデータを見ると確かに理解できます。
▼製品寿命3年以下の製品の割合(経済産業省)
産業機械:16.2%(2002年)→ 40.4%(2012年)
自動車 :18.6%(2002年)→ 35.5%(2012年)
電気機械:43.8%(2002年)→ 72.6%(2012年)
物すごい勢いで製品サイクルが短くなっていて驚きますね。
これは少し古いデータなので、現在はこれよりもさらに短くなっていそうです。
このように、企業が即戦力を求める動きは時代の流れです。
では、即戦力として中途採用した人材に、思う存分その力を発揮してもらっていますか?
中途入社した人が成功する環境
花は水を与えなければ咲きません。
同様に、即戦力人材であっても、きちんとしたサポートや支援なしに、周囲が「お手並み拝見」スタンスでは花を咲かせることができません。
周囲の方も別に意地悪しようとか、協力したくないと思っている訳ではありません。
しかし、非常に多くの会社で、中途採用者に対して「お手並み拝見」スタンスが見られます。
自ら手を差し伸べることなく「あの人、うちの環境に上手くなじむかなあ・・・。どのくらいできるのかなあ・・・」と見ているだけです。
当の本人は誰に言われるでもなく、「早く成果を出さねば」と気持ちだけが焦っています。
両者にこの状況が続くと、中途採用者が成功する可能性が下がります。
第三者が知らない会社に入ってきて、異文化にしっかり根を生やすにはどうしても時間がかかります。
根っこがない段階で性急に成果を求めたら、花が咲く前に倒れてしまいますよね。
一方で、「中途採用は即戦力なんだから入社してすぐ結果を出して当然!」という意見もあるかもしれません。
確かに根が生える前に成果を出す人も稀にいらっしゃいます。
しかしながら、多くの場合その成果は一時的で持続しません。
もしくは風が吹けば飛んでいってしまうでしょう。何かあればさっさと見切りをつけて他社に転職してしまいます。
中途採用した人が成功するための周囲のサポートとは?
では、中途入社した人に周囲ができるサポートとは、どんなことだと思いますか?
皆様ご想像のように、色々なサポートがあります。
- 会社を深く理解してもらう
- 仕事をしっかり教える
- 社内のキーパーソンと繋ぐ
- 業務が上手くいくよう他部署との調整をしてあげる
- 耳を傾け何か問題があれば助ける
- 相談にのる
- お互い納得のいく仕事の目標を握る
- ランチをする
- 飲みに行く
- 声をかける
- 雑談する
- 人となりを知ろうとする
- 笑顔で挨拶する
今は飲みに行ったりなどはなかなか難しい状況ですが、挨拶をしたり、相談にのったりすることはいつでもできます。
大きなことから小さなことまでありますが、全て「成功につながるサポート」です。
ちょっとしたサポートであっても、まだ新しい環境に慣れない人にとってはとても有難いものです。
あえて分類するならば、以下の2つのサポートが挙げられます。
「業務を進めるための」サポート
「関係性を築くための」サポート
こうした支援を得て、中途入社した人は徐々に帰属意識や連帯感を感じるようになります。
さらに会社に愛着がわき、仕事でも成果を出しながら、じわりと根を生やし、転職を成功させていくのです。
中途入社のサポートにもメリハリが必要
花には水をあげなければいけませんが、沢山あげればいいというものでもありません。
水のあげ方にも工夫が必要です。
「美味しんぼで」有名になった永田農法のトマトは、
企業の相手はトマトでなく人間なので、
かといって、新しい環境で慣れないだろうからと何でも手伝ってあげすぎると、
ここの手綱さばきはとても難しいですが、
私のざっくり感覚にはなりますが、体験的にこのように感じています。
1. 業務を進めるためのサポート | 本人の自走力を見ながら程よく提供 |
2. 関係性を築くためのサポート | ケチらずたっぷり与えていく |
中途入社から成功に導くにはミスマッチを減らす
中途採用市場にミスマッチはつきものです。
とはいえ、いい大人同士が真剣に悩んでお互いを選んだわけですから、本人も受け入れる側も成功させるべく努力する必要があります。
内定を出して入社するまでさんざん時間を使って採用した割に、入社後ほったらかしというのは本当にもったいないです。
ちなみに、2030年の人手不足は644万人に達するという予測があります。(パーソル総合研究所調べ:2020年)
この人数を比率換算すると、今後毎年1%ずつ減少するペース。
単純計算だと100人の会社は5年後は5人足りなくなり、10年後は10人不足します。
企業が勝ち残るためには、ますます人材を活かして伸ばす力が大切になっていきます。
中途採用者にしっかりと水を与え、彼らが働きやすい環境を構築していきましょう。
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