あなたの会社のミーティングにおいて、「社長や幹部が一方的に話すばかりで社員から意見が出てこない」と嘆いている方はいませんか?
ミーティングはその進め方次第で効果が大きく変わります。
単なる報告会や一方的なコミュニケーションに終わっては非常に勿体ないです。
人材育成の場ととらえれば、ミーティングが1粒で2度美味しい有効な時間になるのです。
まず改善した方がいいのは、
- だらだら報告会
- 誰かが一方的に説教するだけのミーティング
- 何の意見も議論もないミーティング
代わりに、次のような工夫をドシドシしてみて下さい。
目次
ミーティングの前に事前準備をさせる
例えば、「オフィスのレイアウト変更」について話し合うとします。
ミーティングの冒頭で、あなたから「職場活性化の一環でレイアウト変更をしたいと思うが、今は○○のような案を何となく考えている。みんな、ぜひ意見を出して下さい」という始め方は避けましょう。
社員の育成につながりません。ただの話し合いです。
ではどうすればよいでしょうか?
事前に誰か指名して、本件の議事進行をまかせます。
さらに事前準備として、
- 現状のオフィスの課題、社員の不便・不満などは何か
- どのような改善案が考えられるか
以上2点を簡単に整理しておいてもらいます。
その上で会議開催前に、オフィスレイアウト変更について話合う旨をミーティング参加メンバーに案内し、あらかじめ考えてもらいます。
当日は、議事進行役が整理したメモを最初に説明し、その後社長や幹部から趣旨を説明。
さらに皆で議論という流れにします。
このようにミーティングを進めれば、限られた時間の中で有意義な議論がなされ、社員が自分達で考える習慣が身につきます。
ミーティングの進め方にルールを決める
例えば営業報告会議で、あなたが5人の営業課長から前月の動きを報告してもらうとします。
その場合、報告ルールを決め、発表時間も決めましょう。
例えば、次のように発表の項目と順番を決めてルール化します。
- 先月の業績(対予算/対前年同月)
- その要因
- 市場環境、競合や主要顧客の動き
- 重要なクレームや品質改善要望
- 組織、人員の状況
- 今月の重点課題
- 先月の重点課題の進捗(←先月決めたことを言いっぱなしにしない)
営業課長にこのような流れで物事を考え、ポイントをまとめる習慣づけをしてもらうのが狙いです。
聞き手に分かりやすくという狙いもあります。
もしルールが何もないと、
- 特定顧客の売上が下がった事についてのみ延々と話をする
- 業績悪化の根本原因にふれず、社員の士気が低いせいだと表面的な報告を行う
などの問題がおきがちです。
しかしミーティングの進め方をルール化するだけで、テンポよく、情報が理解しやすく、参加者のストレスが減り、効率良く進むのです。
キラーコンテンツを入れてミーティングに変化をつける
ミーティングの時間中に、人材育成につながるキラーコンテンツを入れてみましょう。
例えば、「先月一番成長の見られた部下を発表」というコンテンツを課長クラスが持ち回りで担当すると決めます。
すると部下の成長に関心の低い課長に少しでも意識させる効果があります。
自分以外の課長の部下が素晴らしい成長を遂げたら、自分の課でも何とか頑張ろうという思いが芽生えます。
「主要取引先定期ヒアリング報告」などもいいですよね。
長年取引が続いているお客様に、自社への要望や今後の可能性などをじっくりヒアリングし、その結果を月に1回持ち回りで営業課長から報告してもらいます。
結果として、顧客との関係を深め、気づきを得る良い機会になります。
コンテンツネタは他にも色々考えられますが、自社の課題解決や人材育成に関わるネタを用意するのは非常に有効な方法です。
ミーティングでは意見が出やすい場を作り人材育成につなげる
ミーティングで意見が出ない理由は幾つかあります。
- 意見を言うのに必要な最低限のスキルや知識がない
- 本人の参加意識が低い
- 何を言っても怒られるとか、稚拙な意見を言うと場が凍るような雰囲気、受け止めてもらえない雰囲気がある
最初の2つは徐々に底上げしていくしかありませんが、最後の1つは人間関係や会議の場づくりの問題です。
まずは、どんな意見でも奨励する。いったんは受け止める寛容さが必要です。
あなたから見たら稚拙な意見ばかり出てくるかもしれません。
しかし続けていればレベルが確実に上がっていきます。
意見を言う人をほめる場にして下さい。参加意欲が変わります。
なお稚拙な意見が出た時に、すぐにあなたがコメントするのではなく、別の参加者に「今の意見はどう思う?」とふってみて下さい。
それを何人か回していけば、当初の稚拙な意見が徐々に深まり、より本質的な内容に近づいてくるはずです。
他人の発言をきっかけに自分の意見を考え、意見をぶつけてゆく感覚を徐々に学んでくれます。
ミーティングの進め方:ファシリテーションに幾つかのパターンを用意する
会議進行役はそのファシリテーションの方法に幾つかパターンを持っておきましょう。
多くの会議で見られるのは、
- 全体に対して「意見はありませんか?」と問いかける(が、なかなか意見が出ない)
- 1人1人順番に意見を言わせる(意見は言うが、義務で発言するので浅い意見になりがち)
そこで少し変化をつけてみて下さい。
- 3人ずつのグループに分けて、いったん3人で議論した上で各グループから発表してもらう
- あなたはいったん席をはずし、メンバーだけで議論を進めてもらう
- いい意見を持ってそうな人を指名して問いかける
- 質問の仕方を工夫する
- 例えば「最近、営業部署の雰囲気が悪いのはなぜ?」と聞かずに、「先月〇〇君が退職したのは、他の社員のマインドに影響してるのかな?」とか、「先月から目標数値を変更したけど、現場の若手社員はどう感じているのかな?」などと、質問の範囲を狭めて尋ねてみる
物理的な工夫もあります。
- 毎回誰がどこに座るか固定化しているミーティングが多いですが、思考や関係性も固定化するので変えてみる
- 立って議論する
- 会議室自体を変える
- なるべく窓のある会議室で行う
ミーティングの進め方を変えて人材育成の場にしよう
ただ漫然とミーティングをひらき、社員の意見を待っていてもなかなか出てきません。
ここまで述べてきたように、事前準備、報告ルール、場の雰囲気づくり、ファシリテーションの方法などを改善していく。
そうすることによって社員1人1人の考える習慣、意見を言う習慣、議論する習慣が身についていきます。
ミーティングは週に1回開催するだけでも年間50回近くあります。
その場を単なる報告会にするのではなく、社員を育て、現場の良い意見を引き出す場に変えていきましょう!
それだけでもあなたの会社の社員力は格段に上がるはずです。