自分のキャリアにおいて大きく成長したと感じるのはどんな時でしたか?
おそらくあなたが思い浮かべたのは、
- 大きなプロジェクトの完遂
- 高い目標の達成
- 部署異動で新しい仕事に挑戦
- 厳しい上司の指導
などではないでしょうか。
その渦中にいた時は成長していたと感じる余裕はなかったかもしれません。
しかし後から振り返ると「あの時、成長したなあ」と思えるような仕事ではないでしょうか?
人の成長は一直線ではなく、大きく成長する時期もあれば、少々停滞する時もあります。
一段一段の高さ(蹴上げ)と奥行きが異なる階段をゆっくりと登っていくイメージでしょうか。
次はあなたの会社の社員を思い浮かべてみてください。
社員は、あなたが大きく成長した時と同じような経験を味わえていますか?
社員が仕事で成長するきっかけはこの3つ
社員が仕事で大きく成長するきっかけは以下の3つから説明することができます。
- ①責任・プレッシャー」
- ②変化
- ③人
①責任・プレッシャー
責任や緊張感のある仕事は社員をたくましくします。
- 大きな仕事、難しい仕事
- 高い目標
- 顧客からの厳しい要求
- 厳しい納期のプレッシャー
- 責任者の立場、管理職の立場
- 成功させなくてはならないというプレッシャー
②変化
変化が成長には欠かせません。
ずっと同じ環境で同じことをやっているとせっかくの刀がさび付いてしまいます。
- 新しい仕事
- 新しい職場環境
- これまで接したことがないタイプの人との仕事
- (上記3つが同時発生する)転職
- 自分の壁を突破する仕事
③人
人との出会いも成長の大きな要素です。
尊敬できる人との出会いだけでなく、苦手な上司や自分と違うタイプの人との出会いも価値があります。
- 厳しい上司
- 無茶ぶりする上司
- ソリの合わない上司、苦手タイプの上司
- 自分に従わない部下、苦手タイプの部下
- 超クオリティの高い仕事をする上司や同僚
- 仕事への姿勢(ex.お客様を大切にする姿勢など)に秀でた上司や同僚
- 人からフィードバックを受けること
中小企業の限られた人材の中から逸材を育てるには、大きく成長する瞬間を沢山経験してもらうことです。
元々良い資質をもっている人であっても、そのような経験を経なければ開花しません。
あなたが過去に経験してきたように、これらを何回も経験させることが人材育成につながります。
私のエピソード:仕事で大きく成長するきっかけ
冒頭で「大きく成長したと感じるのはどんな時か」問いかけましたが、
私自身が聞かれて思い浮かべる成長の瞬間をご紹介します。
新卒入社3年目、分譲マンションの仕事をしていた時に「マンション管理組合の管理規約」作成を担当したことです。
もともと管理規約は「分厚い法律集みたいで、読んでも何にも面白くない文書」と思っていました。
広告宣伝や販売の仕事に比べると地味でつまらなそうだったので、近寄りたくない仕事でした。
したがって担当することになった時は嫌で嫌で仕方がありませんでした。
とはいえ仕事なのでやるしかありません。
まずは過去の事例をじっくり読みました。
管理会社のベテランの方にも色々質問をぶつけて教えて頂きました。
そうこうしているうちに、どんどん面白くなってきたのです。
同じ建物を共同で所有する人達がいかに快適に生活できるか、という視点で様々な工夫や決め事がされているのが管理規約でした。
将来そのマンションの住民になる人達の暮らしを思い浮かべながら、規約を考えるのはとてもワクワクする仕事でした。
私自身管理規約作成の仕事を最後までやり切ったことで、
- 苦手意識のある仕事でも克服できる自信を得ました
- 見た目によらず、どんな仕事も奥深さがあることを学びました
- 法律チックな文章にアレルギーがなくなりました
- 結果として、その後ベンチャー企業の法務を兼任するまで、お堅い文章が得意分野になりました。
このエピソードは新卒3年目の時ですが、その後も、厳しい上司との仕事、転職、責任あるポジション、背水の陣の仕事などを通じて、大きく成長したと思える瞬間がありました。
社員が仕事で成長するきっかけの与え方
まず、「責任・プレッシャー」「変化」「人」がいずれも存在しない状態を考えてみましょう。
- ゆるい仕事
- 責任者が曖昧
- マンネリ化している仕事
- 何も変わらない環境、いつも同じ顔触れ
- 叱らない、指導もしない優しいだけの上司
- 自分と相性のいい人しかいない環境
- 身近に尊敬できる人がいない
- フィードバックをもらう機会があい
このような職場環境です。
一見安泰でのんびりした職場かもしれませんが、本気で何かを達成しようという組織ではありません。
この環境では社員が大きく成長しようがありません。
そこで社長や上司の出番です。
会社の風土や環境を一気に変えるのは難しいかもしれません。
時間もかかります。
しかし、会社の将来を支えるべき人材、潜在力をもっと引き出したい候補人材は頭の中にいると思います。
そういう人にどんどん良い経験をさせ、育成スピードを加速していきましょう。
具体的には、
- 責任を与え、プレッシャーを感じる成果や目標を持たせましょう
- 難しい仕事を与えましょう
- 慣れない仕事を経験させましょう
- たまに異動させて違う仕事をやらせましょう
- 部署横断的なプロジェクトを任せてみましょう
- 抜擢人事で要職につけましょう
- 社長の仕事の仕方や経営者の考え方を肌で感じてもらいましょう
人材の育成は、研修制度や人事制度などを用意するだけでは不十分です。
研修制度や人事制度はもちろん大切ですが、どちらかというと社員全体に公平に用意するインフラです。
一方で将来の会社を担うべき人材の育成は、公平さにとらわれる必要もありません。
個々の能力、志向性などを見ながら、大きく成長する経験を次々と積ませていきましょう。
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